組織再編においては、事業再編に対する移転価格税制の適用・運用について執行上の難点が指摘される中で、包括的な課税ベース(Common Consolidated Corporate Tax Base)策定の動きに期待する意見が(日本から眺めているよりも)強いことを知った。今後の研究の中で、CCCTBをめぐる議論において組織再編成がどのように扱われるべきかを検討していきたい。 理論的検討として、法人税法における費用化(損金算入)のタイミングに焦点を合わせ、「「自己の便益」のための支出と「寄附金」との境界-福岡高裁平成19年12月19日判決を素材として-」を執筆した。繰延資産(とりわけ「その他の繰延資産」)の扱いは、企業会計との差異が顕著な分野であり、法人税法独自の視点を明らかにする上でポイントとなる。損金算入制限のあり方をモデル化することで、組織再編における対価・のれんの扱いなどを検討する指標となることが期待される。
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