人々が集団的投資や事業を行う法的仕組みを事業体と呼ぶが、本研究は、生命保険や信託課税などを踏まえつつ、個人年金に対して事業体課税論を拡張し、その課税のあり方を導管性の概念を道具としつつ探究し、課税モデルを構築・提案しようというものである。個人年金の特長は、定期的・継続的な金銭的給付にあり、それにより受給者の生活が保障される点にあるし、このような生活保障の特質は、生命保険や各種の貯蓄、投資信託などにも見て取ることができる。本研究は、生活保障の観点から、年金や貯蓄、生命保険などを統合的な貯蓄勘定とみて、個人からの出資や分配、公的助成などの課税を統合的に把握すべきである、と結論づける。
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