本研究は、言論市場にさまざまな仕方で関与・介入している公権力の現状を踏まえたうえで、そうした政府の活動を憲法論として的確に位置づけるとともに、その意義と憲法上の限界について明らかにすることを目的とした研究である。具体的には、(1)政府が、特定内容の表現を強制するという仕方によって言論市場に参入する場合、及び(2)言論市場に「規制」ではなく「助成」という仕方で介入する場合、そして、(3)言論市場に直接発言者として参入する場合について、それぞれ憲法的観点からその統制の可能性と方途についての考察を行い、その展望を明らかにした。
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