地方自治体による経済活動には営利活動と調達活動があるが、日本法との比較存念頭において、主として調達制度に着目した。何れの場合にも、経済活動としてめ経済合理性を要求きれる側面と、行政体がそれを行っていることによる、公益適合性ないし公益追求性を求められ、る側面との相克がある。調達の場面では、調達を通じてその他の何らかの公益目的をも追及することによって生じ得る調達価格上昇が、経済合理性の観点からどのように評価されるのかが主として問題となる。ドイツにおける典型的問題の一つは、法的拘束力をって定められている最低賃金を上回る賃金の支仏いを、競争入札への参加ないし落札の要件とする発注方式である。このような方式によれば、契約を通じて、少なくとも契約相手方とその周辺において公益目的が一定程度実現される(例えば下請作業員の待遇改善など)ことほ見込まれる。しが'し他方で、公的支出に常に求められている、費用対効果の観点からの「狭義の経済性」(「最小費用最大支出原則」(地方自治法2条14項)、「必要最小限度支出原則」(地方財政法4条1項)がそのような要請を行っているものと考えられる)は、調達対象物ができる限り安価であることを要求するであろう。このこつの要請のいずれかが絶対的に優先されるのか、それとも何らかの基準を手掛がりにした場合合けが可能なのかが既に問題である。この点は、ドイツにおいても日本においても、また判例や学説の多数によっても、前者の立場は採用されておらず、調達を通じた他の公益目的の追求が、程度の差はあれ、許容されている。問題は許容性の基準であるが、「狭義の経済性」の確保を本則としつつ、民主政的根拠がある場合に、その他の目的の追求をも許容する(それを欠いていれば許容したい)という考え方があり得る。調達制度を通じた公益目的の追求の許容性については、論文の執筆にまでは至ることができなかったが、既に検討の体部分を終了しており、近日中に執筆を開始ずる予定である。なお、行政決定の民主性については「市民参加の『民主化機能』について」法と政治60巻3号1頁~62頁を執筆した。
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