政府契約は直接には政策目的追求に必要な財・サービスの調達手段であるが、同時に、地域経済振興や労働条件の向上といった政策目的を実現するための手段として利用されることも多い。そのような、政府契約の政策手段化は、調達価格を上昇させる可能性がある。また、調達の際に一般の民間企業と異なる行動をとれば、市場競争の環境を歪めるおそれもある。そのため、政府契約の政策手段化がはたして、またどの程度許容されるかを検討する必要がある。契約の自由を持ちだして政策手段化を正当化する議論もあるが、国は契約の自由を享受しない。国が契約を締結するのはその任務を遂行するためであって、私的自治の行使としてではない。その点からは、契約の政策手段化は支持されるが、調達が国による市場取引への参加であることを重視すると、政策手段化は競争阻害的であり得る。何れの要素を重視するかは、国家と経済の関係をどのように整理するのかに左右される。
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