申請時の研究計画のもと、平成20年度は主に3つの研究会への参加を通じて文献調査及び判例研究を行なった。 まず、2002年来、共同幹事を務めている「国際判例事例研究会」を6回開催し、近時の国際司法裁判所の判決を中心に国際判例の検討をおこなった。本年度は、海洋境界画定及び領域紛争に関する事例3件、国際裁判判決の国内実施に関する事例1件などを取り上げ、それぞれの事例の検討を通じて、関連する一般国際法上の概念及びその解釈適用上の問題点に関する分析を行なった。 次いで、「投資協定仲裁研究会(主査 : 小寺彰・東京大学教授)」及び「通商関係条約と税制研究会(同)」にそれぞれ4回ほど参加する機会を得た。前者の研究会では、投資協定仲裁判断における最恵国待遇条項の解釈適用上の論点の分析とそこから得られる今後の投資協定の条文作成への示唆について報告を行なった。また、後者では、上記の一般国際法及び投資協定に関する研究を踏まえ、企業に対する二重課税の防止等を目的とした租税条約と通商関連条約の相互関係の研究をおこなった。 「投資協定仲裁研究会」での研究成果は、その一部についてJCAジャーナル2008年9月号に掲載した。また、その後の研究成果についても、2009年5月12日4-5月以降、研究成果報告書として刊行される予定である。
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