申請時の研究計画のもと、平成22年度は各種の研究会への参加を通じて文献調査及び判例研究を行なった。 まず、2002年来、共同幹事を務めている「国際判例事例研究会」を5回開催し、近時の国際司法裁判所の判決を中心に各種の国際判例の検討をおこなった。本年度は、コソボ独立に関する勧告的意見、国際河川の環境保護に関する紛争、海洋境界画定に関する仲裁判断などを取り上げ、それぞれの事例の検討を通じて、関連する一般国際法上の概念及びその解釈適用上の問題点に関する分析を行なった。次いで、国際投資法については、公正貿易センターが主催する「投資協定仲裁研究会」、西村高等法務研究所主催の「エネルギー投資研究会」及び研究者・弁護士の有志が主催する投資協定仲裁判断に関する研究会などに参加する機会を得た。公正貿易センター主催の「投資協定仲裁研究会」では、国家による環境関連措置に関する投資協定仲裁における判断の動向と、目下交渉が進められている投資協定の条文作成への示唆について報告を行なった。その研究成果は、他の研究会参加の報告とあわせて4-5月以降、研究成果報告書として刊行される予定である。また、「エネルギー投資研究会」では、エネルギー関連の国際業務に従事する弁護士・実務家とともに、エネルギー憲章条約の実体規定及び紛争処理事案について共同研究をおこなった。これらの研究成果は書籍として刊行が予定されている。有志の弁護士・研究者が定期的に開催している投資協定仲裁判断の研究会の成果については、既に昨年8月にJCAジャーナルに掲載された。 本年度参加した独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が主催する「海洋科学調査をめぐる法的諸問題」に関する勉強会でのアルゴフロートに関する国際規制についての研究成果も研究報告書として刊行された。
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