ドイツの住宅手当は、低所得者に対する家賃負担の軽減を図るための公的給付であり、社会保障制度の一翼を担う存在である。また、持ち家層に対しても一定の給付がおこなわれる点で比較法的にもユニークな存在である。費用は連邦と州の折半であるが、租税給付である社会手当の宿命として、非常に頻繁な制度改革に晒され、見通しがとりにくい。実際、2005年の最低生活保障制度改革において、保護受給世帯への支給は廃止され、全体のボリュームも削減された。他方で、なおも保護に至らない低所得者層にとっては重要な制度であり続けており、スティグマを与えない一般的な家賃補助システムとして、我が国にも一定の示唆を有する内容となっている。
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