研究概要 |
本研究の目的は、アメリカ法の擬制信託の制度における優先的取戻しの機能に着目し、その考察モデルを明らかにし、そのことにより優先的取戻しの具体的基準を探求することにある。擬制信託の制限事例を扱いそれらにおける基準を明らかにすることが目的である。そのために本年度の実施計画においては、初年度において明らかになった擬制信託の訴訟係属登録に関連する問題を中心に扱うことを計画し、具体的には1. アメリカ法における判例についての分析、2. 優先的取戻しの問題に関連する文献の収集と分析、3. 訴訟係属登録に関連する問題のまとめと公表、4. 総括的な考察の足がかりとなる情報収集、の4点を計画し、いずれもが達成された。初年度において中心とした論文に依拠し文献収集と分析(2)を行い、裁判例のさらなる分析(1)を行った。初年度において検討した裁判例は擬制信託の救済が肯定された事案であったが本年度においては優先的取戻しの制限につながる、擬制信託が否定された事案を直接に分析した(3)。また、取り上げた裁判例の分析に直接的に役立っ情報収集を学会において行うことができ再検討を行った(4)。以上の作業を通して、その成果の一部を訴訟係属登録の問題として公表した(3)のが、「擬制信託の制限に関連する小報告~訴訟係属登録その2,その3」(鹿児島大学法学論集第44巻1号17頁、同第44巻2号39頁)である。
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