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2010 年度 実績報告書

暴利行為論を中心とした公序良俗論の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20730077
研究機関立教大学

研究代表者

原田 昌和  立教大学, 法学部, 教授 (60340907)

キーワード民事法学 / 公序良俗 / 営業侵害 / 優越的地位の濫用 / 競争秩序 / 暴利行為 / 消費者法 / 不正競争防止法
研究概要

平成22年度においては、ドイツにおける、消費者の決定自由を害する契約勧誘・交渉方法に対する、契約法とドイツ不正競争防止法(UWG)による重層的な規制のあり方について検討した。この点、当初の研究計画からは若干の変更が行われている。当初は、契約交渉過程における行為態様の違法評価の基準の探究のために、不法行為における営業侵害等を参考にする予定であった。しかし、前年度の研究により、ドイツでは、この分野では、EU不公正取引方法指令およびそれを国内法化したUWGによる規制が不公正な勧誘行為の違法評価の基準を詳細に定めており、これらを研究対象の中心とすべきことが明らかとなったためである。
ドイツ法においては、不当な契約勧誘・交渉行為からの消費者の保護に関して、無効・取消権・撤回権・損害賠償請求権等の消費者の個別的な救済手段と並んで、UWGによる差止めや利益剥奪請求等の集団的な救済手段が、重層的な保護を形成している。後者においては、不当勧誘が反復・模倣されることにより広範な影響を有しうるという観点(乗数効果)から、消費者に個別的救済手段が与えられるべき場合よりも事業者にとって厳しい行為義務が設定され、より高いレベルでの取引上の決定自由の事前的・一般的な予防が目指されている。わが国でも、民法・消費者契約法、特定商取引法で取消権・撤回権が定められているほか、適格消費者団体には差止請求権も与えられている。しかし、差止対象行為は、消費者に取消権等が与えられうる行為に限定されているため、乗数効果という考え方を基礎に、より高いレベルで消費者の取引上の意思決定を保護するということは行われていない(その役割は行政が一部担っている)。わが国においても、差止請求権の対象行為として、より高い行為義務を設定し、消費者の取引上の決定自由を契約法と重層的に保護することが考えられてよい。以上の研究は立教法学83号(2011年4月発行)で発表される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] ドイツ不正競争防止法における消費者の決定自由の保護2011

    • 著者名/発表者名
      原田昌和
    • 雑誌名

      立教法学

      巻: 82号 ページ: 275-330

  • [雑誌論文] 完全平準化のコンセプト-序論2011

    • 著者名/発表者名
      ミヒャエル・シュテュルナー((訳)原田昌和)
    • 雑誌名

      立教法学

      巻: 81 ページ: 1-21

  • [雑誌論文] ドイツ不正競争防止法の最近の展開2010

    • 著者名/発表者名
      原田昌和
    • 雑誌名

      現代消費者法

      巻: 7 ページ: 76-85

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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