(1)本研究は、不公正な勧誘・交渉方法を用いて、相手方にとって不利益な契約を締結させる事例に対する規制を対象とする。その際の法制度としては、公序良俗違反(民90条)を主として念頭に置いているが、同法理の活用の可能性とその限界を探求するために、不法行為における営業侵害の法発展、独占禁止法違反の法律行為の効力論等を参考にする。それにより、さらに公序良俗論の総合的検討を行うことをも目的とする。 (2)本研究は、平成20年度から平成23年度の4年間にわたって行われる。 平成20年度においては、ドイツ法および日本法の暴利行為論をめぐる議論・裁判例の再整理が、平成21年度においては、ドイツ不法行為法における営業権侵害およびわが国における競争法違反行為の法的効力に関する議論・裁判例の再整理・検討が行われる。平成22年度においては、わが国の営業権侵害に関する議論・裁判例を、暴利行為論との関係から再検討する。平成23年度においては、アメリカ法・イギリス法における議論をも検討し、暴利行為論の活用とその限界についての検討を行い、公序良俗論の総合的検討へと歩を進める。 (3)以上の研究計画を効果的に進めるために、国内・海外への出張やデータベースの利用、内外の研究者・実務家へのインタビュー、文献の収集・整理・最新の議論の調査が行われる。なお、平成21年度後期から平成23年度前期まで、ケルン大学国際私法比較法研究所にて在外研究を行う機会を得た。
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