民事訴訟法29条によると、法人でない団体(権利能力なき社団、民法上の組合)は民事訴訟の当事者になることができる(当事者能力がある)。この場合、当該団体は、民事訴訟の審判の対象である請求につき、自己の請求であると主張できるのか、それとも、当該訴訟の当事者ではない(つまり、他人である)構成員全員の権利義務にかかる請求の訴訟担当者であると主張すべきかが問題となる。前者の立場が伝統的な通説であるのに対し、後者は近時有力な見解である。本研究では、法人でない団体の当事者能力のみならず、その周辺の重要問題についても検討し、民事訴訟法29条の存在理由を説明する上では、伝統的な通説の方に利点があることを明らかにした。
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