今年度の計画は、平成20年度に実施した東京都墨田区議会議員調査をまとめると同時に、東京23区議会の選挙結果を収録したデータ・セットを作成し、分析することであった。 墨田区議会議員調査については、反訳を終了したインタビュー記録の編集作業を開始した。項目ごとに内容をまとめ、対象者に送付する。対象者に朱を入れてもらい、返送された記録を校正し、再び対象者に送付する。この編集作業をくり返すことにより、3名のインタビュー対象者の記録を完成させることができた。また、アンケートへの回答をコンピュータに入力し、分析の準備も整えた。 また、人口規模と党派性の関係の検証という本研究のテーマに沿って、70年代以降における区議選の結果を収集し、データ・セットを作成した。このデータの分析結果を、「なぜ政党は必要か-大規模な代議制民主主義と政党-」と題して、日本政治学会研究大会にて報告した。 本報告では、区議選で当選するために必要な票数に注目する。例えば、その数が小さい選挙では無所属の当選者の占める割合が高くなり(千代田区)、その数が多い選挙では低くなる(世田谷区)。その理由は、前者においては敢えて政党を名乗らずとも、自らの社会的なネットワークを通じて必要な票数を獲得できるのに対して、後者においては政党のラベルを通じて有権者の動員を図る必要が生じるためである。検証の結果、この仮説は概ね支持されたといえる。
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