平成21年度は本研究課題の第2年度にあたり、アメリカと日本を主たる事例として進めてきた、政党間関係の分極化に関する分析に、具体的な成果を出しはじめることを意識しながら研究を進めた。 その一つの大きな成果が、アメリカの政党政治に関する書籍の出版である。同書では、政党間関係の分極化が政党内部組織と密接に関連していることを、比較政治学の理論枠組みである比較政治制度論に依拠しながら、1980年代から今日に至る共和党を取り上げつつ論じた。これによって、本研究課題を申請した段階で掲げた目標の一つが達成されたことになった。幸いにも、同書については『日本経済新聞』や『外交フォーラム』といった、研究者を主たる読者としない媒体でも書評や紹介がなされた。また、関連した内容を持つ論文を公表することもできた。 他方で、もう一つの事例である日本の政党間関係と政党内部組織の関係については、学術論文ではない形で祖型的な議論を提示することはできた(たとえば、『日本経済新聞』平成21年9月10日付朝刊「経済教室」掲載の拙稿)。また、データ入力については昨年度に引き続き進められた。しかし、学術的な研究成果としては、平成20年度にアメリカ政治学会で発表した共著論文の改訂がなお進行中であるため、最終年度に持ち越しとなった。もっとも、本研究課題が3カ年にわたって進められるものであることを考えれば、当初計画に対する進捗度としては決定的な問題があるわけではない。 全体として、前年度の研究内容を基礎として成果を本格的に出しはじめると同時に、最終年度での取りまとめの方向性を固めるという中間年度の位置づけに対して、本年度の研究は十分な達成を得たと考えられる。
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