研究課題
本年度は、選挙過程における政党戦略と有権者の投票行動を主たる研究対象に設定し、研究を遂行した。政党戦略については次の3つの研究成果にまとめられる。第一に、政権政党と連立パートナーの選挙における協調・競合関係について、西欧13力国の比較分析を行い、ベルギーの研究者と共著論文を刊行した。第二に、上記比較分析のに用いた質的比較分析(QCA)、もしくは、ブール代数分析(Boolean Analysis)を時系列分析に適用する論文を執筆し、マンチェスター大学においてされた国際円卓会議にて発表した。第三に、同じ国際円卓会議において、ブール代数分析から得られる最小解を交互作用項として統計分析に応用する方法論についても報告する機会を得た。上記3点の研究成果は、次年度以降、政党戦略を比較分析する際に必要となる理論的・方法論的な基盤を成すものである。次に、投票行動に関しては、以下の2つの研究成果にまとめられる。第一に、有権者の投票行動を研究する際必要となる世論調査の質問項目を入念に検討した。第一に、これまで長年社会調査の分野で論争が続いてきた、順位法(ranking)と評点法(rating)の2つの様式を比較し、順位法の間題点を指摘する論文を共著で執筆し、アメリカ政治学会(APSA)の年次大会で報告した。同論文は、学会後、世界政治学会(IPSA)のワーキングペーパーシリーズに収められた。第二に、有権者の投票行動を情報環境の視点から理解する試みとして、書評(境家史郎著『政治的情報と選挙過程』木鐸社)を執筆した。これら2点の研究は次年度以降実施予定である地方レベルの選挙世論調査を設計する上で、重要な基礎研究として位置づけられるものである。
すべて 2008
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レヴァイアサン 第42号
ページ: 165-168
International Political Science Association Committee on Concepts and Methods Working Paper Series No.22
ページ: 1-24