研究概要 |
初年度の研究実績の中心となったのは、資料調査・収集、他の研究者との意見交換、そして研究報告であった。資料は通信諜報関係の文書を主に渉猟し、メリーランド州の国立公文書館(National Archives II)、およびヴァージニア州の国家安全保障局資料館(Nahonal Security Agency Library)の一次資料を中心に収集・調査した。国立公文書館では、国務省(RG59)、及び国家安全保障局(RG457)の資料に焦点を当て、その結果、米国の通信諜報史をより鮮明に照らし出すことが可能となった。他方、国家安全保障局のでは未だにその存在を知る人が少ないTarget Ihtelligence Committee(TICOM)の資料、そして、米国の暗号解読の中心人物たちである、William Friedman, Frank Rowlett,Laurance Saffordの三氏のオーラル・ヒストリーも閲覧した。なお、研究開始初年度ということもあり、まだ学術的な論文は交換していないが、このテーマは現在関心が高いため、海外にて研究状況を報告する機会を得た。詳細は、研究発表の項目を参照されたい。その他にも、暗号解読が政策決定に及ぼすケース・スタディーの一考察として「日米開戦に新資料・情報解読に誤り・「東郷変節」の原点」と題した拙稿を『読売新聞(夕刊)』(2008年12月18日)に掲載した。次年度は、引き続き資料収集を行い、現在の手持ちの資料をさらに補完したい。くわえて、研究報告を内外で行い、より多くの研究者からの学術的な助言をいただきたい。そして、今秋を目処に単著の原稿を書き始めたいとと考えているが、その過程で次年度中に何本かの論文を公表することを目指す。
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