本年度で研究実績の中心となったのは、昨年度に続き、資料調査・収集、及び他の専門家との意見交換や聞き取り調査、業績の刊行、そして学会報告である。資料については、通信諜報関係の文献を中心に集め、それらの読み込みを開始した。なお、とりわけ大きな収穫となったのは、米国務省の情報部長と親しくなり、本研究についていろいろと助言していただいたことである。こうした実務者によるアドバイスによって、研究をよりリファインすることが可能となった。くわえて、資料調査を通じて戦前期の日英米の通信諜報史の実態をより詳細に解明することができた。その他の実績としては、日本アジア学会における研究内容の紹介、及び二冊の編著における研究論文の掲載である。なお、私が共編者として名を連ねているUTPよりの刊行物は、査読付きであったことを特記したい。より詳しくは、裏面の研究発表の項目を参照されたい。次年度は、今まで収集した資料・文献を徹底的に読み込み、単著の原稿執筆に取りかかりたと考えており、2011年度の出版を目指して研究を進めている。さらに、次年度の目標としては、海外においてより積極的に研究報告を行い、国外の研究者からのフィードバックをも得たい。なお、本研究は、邦語だけではなく、英語でも単著の出版を計画していることを付記する。
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