本研究の課題は、「IMFの対日政策と日本-日本のIMF8条国移行(1952年〜64年)を中心に」である。日本が貿易を自由化し、IMFの8条国に移行するなかで、国際機関であるIMFとどのような協議を行い、それが現実の攻策にいかに反映されたのか検討しようとしている。これまでの先行研究では、貿易・通商問題を、ある国との二国間または多国間との関係から検討する場合が多かった。しかし同時に、IMFと各国の協議も、貿易自由化に大きな影響を与えていた点は重視すべきであると考える。よって、先行研究を補足すべく、本研究においてはIMFと各国の貿易自由化との関係を検討する事例のひとつとして、IMFの対日政策が日本の貿易自由化に与えた影響を考察する。 本研究の1年目である平成20年度は、資料の収集・整理をしながら、IMFと日本政府との協議内容を検討した。研究開始の初年度にあたるため、資料収集に重点を置き、外務省外交史料館や国立国会図書館で各種資料の閲覧、入手を進めた。同時に国外では、IMF資料をはじめとする関連資料を閲覧・入手するため、アメリカのNational Archivesなどでの調査を行った。 研究内容としては、IMFと日本政府との間で実施された協議内容の整理を通じ、IMF側からの対日勧告、例えば外貨予算制度、為替制限等、貿易自由化につながる様々な要請・勧告の整理を進めた。このIMFと日本との協議内容の整理・分析は、将来的に「IMFの対日政策」を体系化する上でも、重要な基礎的作業となるものである。
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