研究第三年度にあたる平成22年度は、前年度に引き続き日本のOECD加盟にかかわる国内外の資料収集、特にイタリアのフィレンツェにある欧州連合の歴史文書館でのOECD関係文書の収集に重点を置き、調査・研究を行った。 まず、国内では、日本のOECD加盟に携わった当時の外交官、通産官僚、大蔵官僚ら、並びに政治家らの回想や雑誌等に寄稿した文章を収集した。 加えて、日本外交やアメリカ外交、イギリス外交、ヨーロッパの国際関係、国際経済史等に関する二次文献を収集した。 海外資料調査としては、イタリア・フィレンツェにあるEuropean University InstituteのHistorical Archives of the European Union(HAEU)において同文書館が所蔵するOECDの文書を調査・収集した。HAEUでは、OEEC、OECDの理事会、常駐代表者会議の議事録を中心に資料収集を行った。その結果、OECD及びその前身のOEEC内部で、開発援助委員会(DAC)等を通じたOECDへの日本の関与、日本の加盟希望に対して各国がどのように反応していたのかなど、これまで明らかではなかった点が読み取れる文書を収集することができた。 また、前年度までに収集した資料の分析も進め、研究成果の一部として日本政治学会戦前戦後・比較政治史研究フォーラムにおいて「池田政権の対欧州外交-『経済外交』と『冷戦』の交錯」と題する報告を行った。
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