研究概要 |
平成21年度に実施した研究の成果の具体的内容としては新規にディスカッションペーパーとして"Does international knowledge spillover always leads to a positive trickle down?"を公表し,また大阪府大で経済成長やそのレジーム変化に於ける資本の役割に関する論文の研究報告会をし,またこれまで作成した論文を改訂して積極的に投稿しするなど活溌な研究活動を行った。 更に研究計画に沿って以下のごとく研究は進展した。まず,内生的技術進歩モデルの貨幣的側面に関する研究も完成には至らなかったもの連続型への設定の変換とそれに伴う再計算を進めることができた。次ぎに企業を明示的に導入した内生的成長理論モデルの構築に関しては一昨年度完成させた基本モデルに含まれる経済主体の最適化の若干の不具合と,参入退出が直接的にはTFP上昇をもたらさないと云うやや本質的な短所を改善する基本モデルの計算に着手,ほぼモデルを書換え完成した。引き続き本文の完成に22年度は取り組む予定である。 これらの研究はいずれも既存の内生的成長理論にこれまで余り扱われてこなかった要素や問題意識を持ち込み新しい展開を付与する重要なものとなっていると云える。これらによって研究目標である,内生的成長理論に資本の蓄積水準の成長レジームへの影響や国際的な知識のスピルオーバーの負の影響の可能性など様々な重要且つこれまで手薄だった要素を入れて世界の二極化,成長する経済と低迷する経済を多面的に内生的説明すると云う方向に研究を進めることが出来た。
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