本研究では、不況状態における出生率と失業率の関係を内生的に捉えたモデルの構築を試みる前段階としてこ完全雇用下でのモデル分析をおこなった。具体的には、人口構造の変化が、財の需要構造をどのように影響を与えるかに関してモデルの構築をこころみた。そして人口構造変化が財需要から派生する労働市場に対して与える効果に関してデータを用いて統計的に分析をこころみた。モデルの詳細に関しては、世代重複モデルを構築し、財が2つ存在する2部門経済モデルを導入した。このもとで、入口構造の変化と、2財間の相対価格、資本蓄積および国民総生産の関係を描写することが理論的に明らかにできた。まだ政策的な分析ができてはいないが、すでに導出された経済の動学的振る舞いや、長期的に達成される均衡である定常状態の分析はあきらかにされた。特に、その動学体系は、均衡点において様々であることが証明された。経済の状態によって、人口構造変化と国民総生産の動学的な振る舞いが、実際の統計データに沿うものであることを理論的に示すことが可能になった。
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