本研究の目的は、金融市場の効率性と金融政策の有効性との関係を明らかにすることである。22年度は、次の2点(「研究の目的」の(3)、(4)に相当)について分析すると同時に、前年度までの研究成果を国内外に発表することに取り組んだ。 第1に、1990年代以降の日本経済データを用いて、金融市場の状態と日本銀行の金融政策との関係を明らかにした。とりわけ、日本の銀行および生命保険会社の横並びの貸出行動を検証し、横並びの大きさはマクロ経済環境に依存することを実証的に明らかにした。それによって、国内金融市場の効率性と金融政策の効果との関係を明らかにすることができた。第2に、諸外国の経済データを用いて、各国の金融市場の状態と中央銀行の金融政策との関係について比較検討した。その結果、金融市場の効率性と金融政策の効果との関係が一般に観察されることを明らかにした。 これらの研究と平行して、前年度までの研究成果を国内外の経済学会(日本経済学会、日本金融学会、ヨーロッパ経済学会、カナダ経済学会など)において発表した。また「適応的学習」(adaptive learning)と金融政策の有効性に関する研究は、一橋大学物価研究センターの広報誌において紹介された。これらの活動における議論を受けて、研究方法および使用したデータを再検討することができた。 以上の研究成果は、ゆうちょ財団の学術誌および学内のワーキング・ペーパーとして公刊し、国際学術雑誌に投稿することができた。
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