東京と大阪の都心ビジネス回復がおこっており、この回復は都心回帰を伴っているのが特徴である。本研究では、工業(場)等制限法が制定され始めた1959年頃から、東京の変遷をデータによって追うことにより、東京の衰退した面、代わりに発展してきた面を、集積の経済という観点から定量化する。さらにこの集積の経済がもたらす防災面や住環境面、住宅関係の法律面に与える影響定量化する。 平成20年度に作成した地域の空間情報、用途地域の過去の地図データのデジタル化、インフラの整備状況、外部経済を及ぼす可能性のある建物の立地状況、実際の容積率、どの企業がどこに立地しているのかといった情報のデータベースを用いて、人の集積の変化とそれに伴って変化した所得階層のクラスターの変化、またそれが地価にどのような影響を与えているかを堺市のケースで研究し、論文に発表した。そこでは平成2年から現在まで、主要な駅間の所得格差が縮小していく傾向があることがわかった。また東京都の集積と地震危険度、地価形成の関係を分析しジャーナルに公表している。さらに集積に影響を与える住環境が、住宅関係の法律とどのように関連してくるかをみるために、日本の住宅の代表的な法律である借地法と住宅投資の関係についての分析を行い、ジャーナルに公表した。
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