研究概要 |
本年度は時空間計量モデルの推定量の特性について研究を行ってきた. まず. 空間モデルの推定量の特性について分析した. 具体的には, 空間自己回帰モデル, 空間誤差モデル, 空間ダービンモデルの推定量の特性について分析を行った. さらに, AIC, BIC, DIC, 周辺尤度を用いて, モデル選択において有効な選択基準を探索した. その成果はFar East Journal of Applied Mathematicsにされた. 次に, 時空間モデルへの拡張を行い, パネル空間自己回帰モデルの推定量の特性について分析を行った. この論文ではパネル空間自己回帰モデルのベイズ推定量と最尤推定量の比較を行った. 分析の結果, ベイズ推定量は最尤推定量と同等のパフォーマンスを持つことが明らかになった. この成果は, Spatial Economic Analysisに掲載された. これらの論文から, 有限標本で制約を持つ空間モデルおいて, 漸近理論を必要としないベイズ推定が有効であるということが示され, 実証分析において, ベイズ推定を行うことの意義が示された. 実証分析に関しても現在進行中であり, 2^<nd> International Workshop on Computational and Financial Econometrics, 9^<th> World Meeting for Bayesian Analysis, Joint Meeting for 4^<th> World Conference of the IASC and 6^<th> Conference of the Asian Regional Section of the IASC on Computational Statistics & Data Analysisにおいて, 電力需要の予測や景気循環についての報告が行われた. これらの研究については, さらに学会報告を行うことにより精緻化を進めて, 次年度以降学術雑誌に投稿する予定である.
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