当年度は、昨年度提案したtail riskを最適化するポートフォリオの推定量の漸近的挙動を調べた。収益率が非正規な時変ARCHモデルに従う場合に、重み付けした正規対数尤度を使って時変パラメータを推定し、この推定量を使って残差を求める。この残差を複製して、疑似的な(定常)ARCHモデルを複製し、tail riskを評価し、最適ポートフォリオ推定量を提案した。この推定量の一致性は、時変パラメータの推定量の一致性に連動し、時変パラメータの推定量の一致性のオーダーが、√bnであることから最適ポートフォリオ推定量の一致性のオーダーも√bnであることが分かった。また、収益率が線形長期記憶過程に従う場合も、ブートストラップにより残差を複製して、収益率を複製し、最適ポートフォリオ推定量が構成できることを示した。この推定量も一致性があることが分かった。 当年度までの結果で、幾つかの手法により、正規・非正規・非定常な従属過程の下で、一致性のある(さまざまな)ポートフォリオ推定量が構成できることが分かった。ただし、有効性の議論は、パラメトリックな手法における平均分散最適ポートフォリオに対してのみ構築されている。したがって、来年度は当研究のまとめとして 〓 パラメトリックな手法におけるtail risk最適化ポートフォリオ推定量の漸近有効性 〓 セミパラメトリックな手法における平均分散およびtail risk最適化ポートフォリオ推定量の漸近有効性を考えたい。
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