研究概要 |
1. 課題1について:過去2年間で得られた分析結果の公表と刊行 平成20年度に,予備的な行動が健康状態に与える影響について「家計のリスクに関する調査」を用いた分析を行っていた.分析の結果,禁煙や睡眠を十分にとるといった予備的な行動が健康状態を高めることが分かった.この分析結果を論文としてまとめ,査読付雑誌に投稿した(現在,査読結果を待っている). 2. 課題3について:過去1年間に得られた分析結果の公表 平成20年度に,(財)家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」を用いて,豊かさと健康状態の関係を分析をした。そこでは,豊かであるほど健康状態が良いという結果が得られていた.この結果を論文としてまとめた(現在修正している). 3. 新たな課題について:過去2年間で行った分析の中で必要性が生じた新たな分析の遂行 健康格差は親から子どもへ世代を通じて継承または拡大されていく可能性がある.たとえば,親の労働状況や所得格差が生まれてくる子どもの生まれた時点での健康状態の格差をもたらす可能性がある.とくに,世帯主が失業状態であることや家計所得が低いことが,生まれてくる子どもの健康状態を悪化させ,そのような子どもの成長後(就業期)の生産性を低下させる可能性が指摘されている.この点に関する海外での先行研究を広く展望し,サーベイ論文として公刊した.また,日本の県別データを用いて,親の労働環境や貧困が新生児の健康状態を悪化させるかどうかを分析した.分析結果については,学会等で報告の後,学術雑誌に公刊した.
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