本研究は、人口の高齢化と医療支川をめぐるred herring仮説(医療支出の増加に対する高齢化主因説の妥当性)について、検討を行うものである。まず、OECD加盟30カ国を対象としたマクロレベルのパネルデータセットを新たに構築し、それに基づきさまざまな推定方法や定式化の下で実証分析を行った。その結果、高齢化の殿代理変数はほとんどのケースで有意に正であった。このことから、多くのミクロ実証分析で示唆されるRed Herring仮説は、本研究のようなマクロ分析では妥当性を持たないことが明らかとなった。
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