本年度は、主に以下の研究を行った。 1. 国際貿易・海外直接投資の現状、貿易政策・直接投資政策に関する実態調査および国内外の学術研究の調査近年の国際貿易・海外直接投資の現状、各国における貿易政策・海外直接投資政策に関する実態調査および関連する国内外の学術研究の調査を実施した。特に、各国の生産性、賃金等の比較や合併に関する法律などについて調査した。これらの調査は、今後の研究成果作成の際の背景となるものである。 2. 費用が異なる2産業(2地域)への参入非効率性 産業に固有の限界費用・固定費用が異なる状況において、2産業への参入企業数の非効率性および参入の経済厚生に対する効果に関する分析を行った。通常、低い限界費用を持つ産業には経済厚生を最大化する企業数よりも過剰に企業の参入が起こるという性質がこれまでの研究から示されている。しかし、本研究は、2産業間の固定費用水準の格差によって、低い限界費用を持つ産業においても参入企業数が経済厚生を最大化する企業数よりも過少となる可能性があることを明らかにした。この分析において、「産業」の部分を「地域」あるいは「国」に置き換えることにより、費用が異なる2地域への立地企業数あるいは海外直接投資企業数の非効率性について説明することができる。本研究成果については、現在海外査読誌に投稿中である。 なお、予備的研究として、サービス産業の市場規模が異なる2国に対する立地企業数の非効率性および経済厚生に対する効果に関する論文を作成した。この論文については、海外学会で報告し(裏面11)、現在海外査読誌に投稿中である。
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