近年、日本やEUなどの先進諸国において使用済みとなった製品の処分をめぐる議論が様々な物議を引き起こしている。天然資源の利用、環境汚染、そして、経済性を総合的に配慮した際に、現在の制度は十分だといえるのであろうか。天然資源の持続可能な利用、自然環境の保全、そして、より豊かな人間の経済生活、これらの総合的なバランスがとれた社会の実現を目指す上で、もし何らかの弊害があるとすれば、解決のためにはどのような政策が考えられるのであろうか。本研究の目的は、経済学的分析を通じて、このような課題に対する政策的インプリケーションを導くことである。 平成22年度においても、学内・学外の研究者との共同研究に精力的に取り組んだ。中でも、一昨年度よりオックスフォード・ブルックス大学の長瀬洋子氏と継続的に研究を行っている、イギリスで実施されている「容器包装廃棄物回収証」に関する論文が完成し、2011年2月にオーストラリア・アデレードにおいて行われた第29回「Australasian Economic Theory Workshop」にて論文を報告した。この論文は2011年6月にオタワにて開かれるカナダ経済学会の年次大会でも報告することになっている。アデレードの会議では、研究代表者の論文にコメントをいただき、また研究代表者が討論者として論文に対するコメントを行った、ニュージーランドのVictoria University of WelllngtonのPaul Calcott氏と共著者である同大学のVladimir Petkov氏と幾度か交流する機会を得て、その後も、共同研究の可能性を追求するべく、継続的にコンタクトを取り続けている。 また、フランスのリール第一大学のEtienne Farvaque氏とフランスと日本でそれぞれ一度ずつ共同研究を行う機会を設け、政治経済学の分野におけるこれまでの論文を仕上げる作業とともに、新しい論文のアイデアを出し合って、現在も議論を行いながら執筆を続けている。
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