研究概要 |
都市と地方の産業立地や人口配分を考える上で有効な分析ツールとして,1990年代後半から急速に研究が進んだ新経済地理(New Economic Geography)モデルがある.このモデルは,財や人々の多様性や生産における収穫逓増を導入して経済活動の集積メカニズムを構築し,この集積力が交通・通信技術の発展にともなってどのように変化するか,その結果どのような産業立地がもたらされるかを一般均衡によって内生的に説明している点に特徴がある.しかし,これを地域政策の評価に用いるためには,i)資本の役割が軽視されている,ii)財・サービスの垂直的な質(quality)については考慮されていない,等の問題点がある. 本研究では,上記の二つの点で従来の経済地理モデルの拡張を行い,地域政策評価への応用を図ることを目的とする.具体的には,期間内に以下の諸点を明らかにする. (1)上記の問題に対処した基本モデルの構築 (2)人材・企業誘致政策の評価 (3)都市構造が地域経済に与える影響の分析 (4)地域経済と国際経済の統合モデルの構築 (5)実証分析と地域政策の検討
|