日本における規制改革の議論は、先行する欧米諸国における経験、あるいは理論的・実証的な研究に依拠する場合が多く、それらが日本の経済構造や市場構造にも応用可能であるかどうかについては検討の余地がある。とりわけ日本の公益事業については、これまで需要は価格には反応しない、すなわち需要の価格弾力性はゼロまたは極めて小さいという先験的な仮定が定着し、市場構造に関する学術的な分析がほとんど行なわれてこなかった。 本研究課題は、日本の公益事業、とりわけこれまでほとんど分析されてこなかったガス事業について、その市場構造を表す価格弾力性や代替の弾力性について、地域ごとの差異を考慮しながら計量経済学的な回帰分析の手法を用いて推定するとともに、同じエネルギー関連の公益事業である電力事業との比較を行なうことを目的とする。
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