研究概要 |
平成21年度は設備備品費で購入した住宅都市経済関連図書や統計書等により,作成したデータベースおよびレビューした内容を踏まえて,実証モデルを構築した.具体的には,密集市街地の外部性を精緻に定量化するため,これまで研究してきた空間的自己相関を考慮した実証モデルに,あらたに過去の土地利用動向が現在の土地利用選択に影響を及ぼすことを考慮することを目的とした時間的自己相関の枠組みを取り込んだ実証モデルの構築を検討した.計量モデルは宅間(2007)や宅間(2008)と同じくヘドニック・アプローチを採用し,密集市街地の外部性がもたらす住宅投資の過小投資を,地価と所得の内生性の関係として捉える理論手枠組みで構築し,パネルデータでプレ実証分析を行った.しかしながら,実証分析において所得を先決変数として扱っているため,精緻な分析が出来ていない。この問題を解決することが次年度の課題として残り,同問題を解決することで,密集市街地の外部性がもたらす影響を精緻に考慮した費用便益分析が可能となり,密集市街地を対象とした政策分析に大きな寄与ができると考える.
|