研究課題
本研究はまだ実証分析の蓄積の少ない日本における離婚を分析対象にした研究である。質的データである判例を計量し、法制度が離婚に与える影響を分析した点に意義がある。「A Time Series Analysis of The Divorce Rate in Japan Using a Precedent-Based Index」では、日本の長期的な離婚の上昇の原因を探った。有責主義から破綻主義への法制度の転換が、離婚率上昇の要因となっているかを時系列分析で検証した。判例より、別居期間、子の有無、家庭内暴力の有無、有責配偶者からの訴訟かなどのデータを数値化し、離婚訴訟の勝率を推定した。推定結果より離婚訴訟のモデルケースの勝訴確率を求め、有責主義から破綻主義への法制度の転換のインデックスとして使用した。この判例インデックスを女性労働力率、失業率とともに離婚率に回帰させた。年次データを用いた時系列分析の結果、有責主義から破綻主義への法制度の転換は長期的に離婚率を上昇させていることがわかった。さらに、女性労働力率は離婚率を上昇させることがわかった。また、アメリカとの結果とは対照的に離婚率は景気変動と反対の動きをすることがわかった。つまり、日本では不況期に離婚率が上昇することがわかった。この論文はMathematics and Computers in Simulationに掲載された。
すべて 2008
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Mathematics and Computers in Simulation
ページ: 1-10(doi : 10.1016/j.matcom.2008.10.002)