研究の基本作業を終えることができた。基本作業としてはデータベースの購入とデータセットの構築、基本統計量による各国国際金融市場の俯瞰、仮説設定のためのヒアリングがあげられる。この作業の上で地場銀行と外国銀行との取引案件を比較し、市場行動の違いついての暫定的な結論を出すことを初年度のゴールとした。 ミクロ実証分析に当たってはビューロ・バン・ダイク社の金融情報データベースをBankscope購入する。メガバンクも同社からデータを購入しており世界的に信用の高い金融情報企業である。本データベースは資本市場における最新の資金調達状況までカバーしており、情報検索の機能も極めて高い。このデータベースを研究に採用することで正確かつ効率的にデータセットを準備した。また、ヒアリングによって債務のプレースメントの現状を把握した。これは数量的に分析する際にやみくもに因果関係を想定して計算するのは極めて非効率的であり、説明変数について見当を付けて作業を進めるためである。 データベースの構築は入力補助を得て速やかに遂行した。さらに国別、時期別に供給構造を俯瞰するため基本統計量の取り纏めが必要であるが、作業には統計ソフトSTATAを採用した。地場銀行と外国銀行とに係る取引案件の比較では平均の差の検定や比率の差の検定を適用した。しかし、シンジケート構造は単純ではないため、取引案件を二分することが容易でない場合もある。こうした問題への対処としてはシンジケートにおける保有シェアで案件の分類を行った。
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