| 研究概要 |
本年度は昨年度執筆し2008年度日本応用経済学会全国大会(金沢大学)、各種研究集会等において報告を行った複数編の投稿論文の再投稿作業及び新規執筆論文の研究報告等を行った。具体的には、査読過程で受けた指摘をもとに、モデルの頑強性の検証、政策含意の精査等を行い、本年度内に学術雑誌に再投稿した。その結果、「Dynamic Analysis on Public Investment Policies in an Endogenous Growth Model」、及び「Employment, fiscal policy, and oligopsonistic labour market」の2編の論文が学会誌(応用経済学研究)及び国際学術誌(Australian Journal of Labour Economics)にそれぞれ掲載された。とりわけ、前者の論文は、最適公共投資の条件がArrow-Kurzによる「限界生産力均等化条件」を公的資本の維持更新の費用によるウェイトづけで修正された条件になることを示し、同時に、公的資本の維持更新の生産効率によって、経済成長率も大きく影響を受けることが明らかになっている。このことは、必ずしも積極的な投資を行う必要なく、限られた財政資源を適切に配分することにより、経済成長を促進することを含意している。この貢献により、応用経済学研究に掲載が決定し、研究奨励賞を受賞した。これらの研究成果は、現実の税制度や実証研究の成果により、得られたもので、公共投資の効果及び最適公共投資政策は、今後の公的資本の整備の指針となりうるものである。
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