1. 国民経済雑誌に論文「品目別物価指数の特性と金融政策の相対価格への波及効果:近年の研究動向及び日本のデータを用いた実証研究」を発表 論文の概要: (1) 品目別物価特性及び金融政策の相対価格への波及効果を分析した研究の動向を整理した。 (2) 日本の品目別国内企業物価指数を用いた実証分析を行った。具体的には、品目別インフレ率のボラティリティ及び持続性を計測し、それらの特性を調べ、さらにベクトル自己回帰モデルを用いて品目別物価ショックと金融政策ショックに分け、それらのショックが品目別物価へ与える影響を分析した。 主要な実証結果; (i). 日本の品目別国内企業物価インフレ率の特性が先行研究と同様の性質を持つことを確認。 (ii). 個別物価ショックに対しては即座に価格変更するものの、金融政策ショックに対しては新たな物価水準に到達するまでに長いタイムラグを伴う。 (iii). 生産段階の違いにより物価への金融政策効果に短期的な異質性がある。 (iv) 金融政策は長期的(少なくとも3年後)にも相対価格に影響を及ぼす傾向があり、分散の大きい、持続性の高い、価格改定頻度が高い品目への影響が大きい。 2. 昨年度分析した手法とは別の金融政策ショックを用いて90年代の日本の金融政策効果を分析 90年代における日本の金融政策は有効であったことが示唆された。特に、資産価格や期待を通じた波及効果が有効だった可能性が示唆された。加えて、金融政策の内生的な変化を誤って金融政策ショックとして識別してしまうと、金融政策効果を過小評価してしまうことがわかった。現在、これらの研究結果を論文"Was Japanese Monetary Policy Effective in 1990s?"として作成している途中である。更に、このショックを用いて、昨年度得た個別物価の影響に関する結果の頑健性を調べる予定である。 3. 現在、論文"Disaggregated Prices and Their Effects of Monetary Policy Shocks in Japan"に昨年度及び今年度追加的に行った分析結果をまとめる作業を行っている
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