平成20年度は「外国為替市場介入による為替相場へのボラティリティ・インパルス応答関数の分析」を行う予定であった。計画通り執筆し、現在、海外雑誌に投稿中である。日本の外国為替市場介入のショックが為替相場のボラティリティにどのように波及するかに焦点を当てLin(1997)によるインパルス応答関数を用いて分析した。外貨準備および為替相場の分散を内生化し、2次モーメントの相互依存関係を分析した。主な結論は、(1)外国為替市場介入のショックは為替相場のボラティリティを短期的に増加させる、(2)為替相場のボラティリティのショックに対して通貨当局は持続的に反応する、(3)為替相場と外貨準備の間には双方向の分散における因果関係が存在するというものである。インパルス応答関数による結果では、介入は将来の為替相場のボラティリティを増加させ、不確実性を増加させていることを示している。 また、本年度は為替予想のパネル・データ収集を行った。平成20年4月から7月までの期間において489人に対して14回の計3989回答(有効回答率58%)、平成20年9月から2月までの期間において407人に対して14回または28回の計7462回答(有効回答率76%)の為替予想の週次パネル・データを収集し、他の研究者も利用できるようにホームページで公表している。リーマンショック後の急激な為替変動と予想の形成の関連を明らかにする目的で収集したものである。
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