研究課題
1991年3月には約700億ドル程度であった外貨準備は、2010年2月末で約1兆ドルにものぼる。平成21年度は、「外貨準備の運用および今後の方向性」に関する研究を行なう計画であった。このような外貨準備の増加の背景に、外国為替市場介入の存在がある。もしも介入が行われなかった場合、為替相場の水準はどのくらいになったであろうかという問題意識から、論文「A note on the yen/dollar rate without foreign exchange intervention」で累積介入額の影響を取り除いた為替相場を計算した。その結果、介入が全くなかった場合には1ドル=約70円まで円高が進んだ可能性がある。このことは、1990年代初頭の水準まで外貨準備のドル資産を売却すると、大幅に円高を引き起こすことを意味している。今後、外貨準備保有を減少させる場合には為替相場を通じた日本経済への影響にも留意する必要がある。なお、この論文は中国での国際フォーラムで報告した(共著者が口頭報告)。また、論文「Impulse Response Function of the Exchange Rate Volatility to a Foreign Exchange Intervention Shock」では、外貨準備と為替相場の1次モーメントおよび2次モーメント間での相互依存を考慮し、インパルス応答関数を用いて、為替相場のボラティリティ(2次モーメント)への為替政策ショックの波及を分析した。その結果、為替市場介入は為替相場のボラティリティを有意に増加させるとともに、為替相場のボラティリティにショックが発生した際、当局は長期間にわたって持続的な反応を示すことがわかった。
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Working Paper Series, Faculty of Economics, Kinki University No.E-13
ページ: 1-7
生駒経済論叢 第7巻第1号
ページ: 599-617
http://www.eco.kindai.ac.jp/hoshikawa/others/data.html