本年度は1976年から2007年までの気温データの分析を行った。47都道府県の都道府県庁所在地の気温を用いて特に経済に与える影響の大きい時期である夏と冬のデータについて地域別(九州・四国・中国など)に分析を行った。夏において7・8月と7・8・9月の平均気温の平均を取り、各地の経年変化と地域内の違いの分析を行った。各地は近年の気温の上昇が見られ、地域内での気温差は九州・四国以外の地域で見られる結果となった。例えば中国地方では気温の高い順に並べると岡山・広島・山口・鳥取・松江となる。 冬において12・1・2月と1・2月の平均気温の平均を取り、夏の分析と同様に各地の経年変化と地域内の違いの分析を行った。冬でも各地の近年の気温の上昇が見られ、地域内での気温差が夏より顕著に見られる結果となった。例えば九州地方では気温の高い順に並べると鹿児島・宮崎・長崎・福岡・大分・熊本・佐賀となる。以上の分析結果から気温リスクを回避するための商品である気温デリバティブの支払い条件(補償金)の温度設定は同じ地域内でも個別に設定する必要があると思われる。 また養鶏ファームの見学から鶏糞を加工して燃料として再利用し鶏舎の室温調整を行っていることから冷夏・厳冬による室温調整のための燃費の増加がほとんどないことを知った。これは気温リスクを外部に移転しない、すなわち気温デリバティブを必要としないケースである。このケースから気温変動の影響を受けるが企業内部でリスク回避できることから気温デリバティブを必要としない可能性を示唆している。
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