研究課題
研究の目的は、西アフリカという途上国地域で最近活発化してきた通貨圏創設に向けた動きが、各国の経済成長に本当に貢献するのか?現実に通貨統合する際、アンカー通貨の選択を含め、どういった制度作りをしていくべきか?というテーマを検証することである。そこで、最初に、共通通貨導入に向けて動いている西アフリカ第2の通貨圏WAMZ (West African Monetary Zone)において、将来どの通貨をアンカー通貨に設定しようとしているのか、Frankel and Wei (1994)の手法を用いて検証した。1999~2008年の間、実際に運営されている為替制度はなにかを分析すると、WAMZ各国は、ウェイトは異なるが事実上、ドルに対して固定相場制を採用するよう移行しつつあることが示された。これは、CFAフラン圏が公表どおりユーロに対して固定相場制を採用していることと対照的な結果である。しかし、このウェイトは期間中一定ではなく、ユーロ・ドル間の為替変動と、一次産品世界価格の変動に影響を受けていることが分かった。結果的に、WAMZ各国は、アンカー通貨をドルに選択するよう収斂を試みる一方で、各期の対外ショックを最小にするように対処していることが示された。次に、西アフリカ各国の輸入需要関数をARDLモデルで推計し、ワルド検定によって、外貨準備が輸入需要の流動性制約となるのかを確認した。その結果、CFAフラン圏は通貨の交換性が保証されていることで、輸入需要の流動性制約がかからない状況を生み出せていることがわかった。今後、西アフリカ第2の通貨圏WAMZが現実に通貨統合し、アンカー通貨を選択する際、通貨の交換性を保証するための制度作りが同時に必要であることを再認識した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Economies et Societes, Histoire Economique Quantitative
巻: Series AF No.43 Tome 45 No.1 ページ: 89-114
大阪学院大学経済論集
巻: 第24巻第2号 ページ: 47-90