研究計画の最終年度にあたる平成22年度は、これまでの研究期間において系統的に収集してきた中国の計画経済期(1949-78年)の財政金融関係資料を基礎として、データの整理および分析を進めるとともに、研究成果の総括および公開に関する準備を進めた。 具体的には、2011年1月31日-2月1日に香港を訪問し、計画経済期中国の経済に関する資料を大量に所蔵する香港中文大学中国研究服務中心にて財政金融関係資料の収集・分析を行った。研究の総括および公開については、研究成果の一部をAssociation for Asian Studies-International Convention of Asia Scholars Joint Conference 2011(2011年3月31日~同年4月4日、米国・ハワイ州)にて報告し、海外の研究者から研究の取りまとめに関して貴重なコメントを得た。また、2011年4月26日には、東京大学社会科学研究所現代中国研究拠点経済部会と連動する形でワークショップ「中国財政金融システムの歴史的展開」を開催した。同ワークショップにおいて、研究代表者は本研究の核となる部分を報告し、中国の財政金融の専門家であるその他の報告者やコメンテーターから有益なコメントをいただいた。なお、同ワークショップは、当初2011年3月25日に予定されていたが、同年3月11日に発生した東日本大震災の影響により開催を延期せざるをえず、ワークショップの報告者招聘旅費を確保するために平成22年度予算を一部翌年度に繰越しした。 以上の活動を通じて、研究計画で当初設定した目標はおおむね達成され、その成果は、東京大学社会科学研究所現代中国研究拠点研究シリーズNo.10『中国計画経済期財政の研究省・直轄市・自治区統計から』(2012年3月刊)という形で刊行される。
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