1 戦間期から1950年代後半におけるエネルギー節約技術の展開 当該期間において国内諸産業のなかでもっともエネルギー節約技術が進展した業種のひとつである鉄鋼業の動向に着目し、企業(日本製鉄・昭和製鋼所など)や学協会(日本鉄鋼協会など)の資料を分析した。なかでも熱管理の発展過程を追跡することを通じて、日本鉄鋼業が1950年代前半には世界最良水準の燃料原単位を実現していた要因を戦間期・戦時期からの連続性・断絶性に注目しつつ明らかにした。成果は論文として公表済みである。また、関連する技術者からのヒアリングも実施した。 2 1950年代後半から60年代前半におけるエネルギー需要急増予測への対応 エネルギー需要の急増に対応するための製油所建設・大型タンカー建造・石油港湾整備事業などについて、開始された経緯、内容、効果などを政府・企業・地方自治体の動向に注目して分析した。政府にかんしては京浜港・四日市港などの浚渫事業について、企業にかんしては主要製油所・造船所等の建設過程をとくに出光興産徳山製油所について、地方自治体にかんしては千葉県・横浜市などによる臨海開発について、それぞれ調査を進めた。とくに、地方自治体の臨海開発については、高度成長期における埋立の先駆的事例である横浜市の根岸湾埋立事業に注目し、関係者からのヒアリングと複数の一次資料群の調査を実施した。 また、高度成長期を通じたエネルギー需要の変化について、原単位・産業構造の観点から国際比較を進めた。
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