第二次世界大戦後のイタリア経済を特徴づけた国家持株会社に注目し、その中でも最大規模の機関、産業復興公社IRI(イリ)の活動を実証的に検証することで、イタリア経済の本質に光を当てることを長期的な研究課題としている。本研究では、当該機関のイタリア経済における存在意義を理解するために、第二次世界大戦後の再建期に起こったIRI存廃論争の内容や、経済復興計画の立案・実行にあたりIRIが果たした役割を、政策構想・主要人物の活動・関係諸利害との関係性など諸レベルから検証する。その際には、戦後再建期のイタリアが直面した対外的な制約(戦後の国際金融秩序の構築と、ヨーロッパ統合を中心として)が、同国の政策形成に与えた影響にも注目し、それらをIRIの産業復興構想や活動の実態検証から析出することを目標とする。
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