第二次大戦後のイタリア経済を特徴づけた国家持株会社制度に注目し、その最大機関、産業復興公社IRIの活動を実証的に検証することで、イタリア経済の本質に光を当てることを長期的な研究課題としている。本研究では、イタリア銀行や公文書館、IMF文書館などで収集した資料から、アメリカの復興援助を得るための投資計画の策定・実施のため国家持株会社IRIが戦後も存続されたこと、ブレトン・ウッズの国際金融協力がイタリアの金融当局に通貨価値の維持と準備の再建を最重要課題と認識させたこと、同時に国内企業の輸出拡大と競争力増強を目指して、ヨーロッパ統合による貿易自由化の促進を積極的に選択させたことを明らかにした。
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