本研究では、(1)利害関係者の主張と行動、(2)合併の動機と効果という2つの視角から戦間期・戦時期日本のM&Aに関するケーススタディを実施した。その結果、(1)については、戦間期の株主が、合併条件という目の前の直接的な利害ではなく、追加的投資の影響といった企業の経営行動に関わる部分にも関心を払っていたこと、また、戦時末期の株主が、合併条件等に関して自らの利害を強く主張していたこと、(2)に関しては、M&Aの効果が合併企業から被合併企業に経営資源を再配分することで明示的に発揮されたことを明らかにした。
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