研究期間の初年度である本年の実施計画に従い、(1) 北海道地域の企業を対象にしたフィールド調査、(2) 研究に関連するデータおよび先行研究の収集と分析、(3) 概念モデル化、といった三つの研究調査活動を実施した。 本研究の目的は、「地域ブランド」を活用している企業のビジネスモデルについて、内部要因と外部要因の双方に着目しながら、特に資源ベース戦略論の理論的発展に貢献することであった。実施計画のそれぞれのフェーズにおいて、所期の研究目的を進化させるような研究成果をあげることが出来たので、以下に列記しておく。 まず、(1) については、2007に発生した石屋製菓における賞味期限偽装事件を詳細にケーススタディとして分析した成果を研究論文にまとめ、時宜に適った成果として公表ずることができた。論文とはなっていないが、地域ブランドに関連性の高い企業のインタビユーデータも複数蓄積できている。 次に、(2) については、特に先行研究の分類を、比較的幅広くとつて進めたことが功を奏し、観光振興など本課題が当初想定していなかった対象に、本研究が課題とする理論を進展させる可能性があることが判明した。結果として、この発見が日本広報学会での発表につながり、理論構築型の論文にも結実させることができている。 最後に、(3) については、上述の(1)と(2)が比較的順調に推したこともあり、モデル構築のための理論とデータを大量のテキストの形でまとめることにも成功している。 なお、以上の成果をまとめた中間報告として、近々一般書籍の出版も予定されるなど、次年度以降の研究実施に向けて、初年度の研究は快調にスタートを切ることができている。
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