研究概要 |
本年度は,(1)平成20年度に実施した先行研究のレビューを通して導出された試論的な概念枠組みに沿って,主に札幌地域および福岡地域の情報技術産業分野のイノベーションシステムを構成するセクターの異なる複数のアクターに対する聴き取り調査を通して分析用のデータセットの作成に努めるとともに,グラウンデッドセオリーアプローチを適用して予備的な分析を実施した。具体的には,(1)本研究の鍵概念である「協働起業家」の理論的定義と操作的定義の開発,(2)地域のイノベーションシステムの形成期,展開期,変革期におけるアクターの意図・行為と相互作用の詳細な記述および説明を実施した。 分析作業に際しては,情報技術産業のイノベーションシステムに関する比較事例分析を通して得られた暫定的な分析結果を,随時,並行して調査している他の産業分野に属する諸地域(鯖江地域における眼鏡枠産業,大川地域および旭川地域におけるインテリア産業)のイノベーションシステムに関するデータと照合し,研究成果の洗練を図っている。現時点での研究成果については,現在ディスカッションペーパーを執筆中である。
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