研究概要 |
本研究の目的は,協働起業家が,地域のイノベーションシステムを構成する諸主体間の戦略的協働の実現に果たす役割を解明することである。分析の結果,地域イノベーションシステムの作動のボトルネックになっている歩留まりの悪さや納期遵守率の低さに代表される各地特有の制度的な文脈に根ざした問題の解決にあたり,協働起業家が,産地に定着した公的な関係におけるポジションの獲得,イノベーションシステムを構成する他の主体への公的・非公式な関係を通した漸進的なロビイングなどにより,産地が直面する問題と解決策のセットを浸透させ,産地特有のコンテクスト(取引慣行や域内の情報経路等)の変革をはかっている実態が浮き彫りにされた。
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