これまでの医療機関経営、特に医療連携に関する先行研究をレビューすると、その多くが医師など医療従事者によるものであった。そこで経営学・マーケティング視点から研究を進め、21年度は定量調査のための準備を行った。具体的にはインタビューによる定性調査から定量調査のための仮説を導出し、質問票を作成し、そのプリテストを行った。 プリテストの結果から、医療連携の問題点を探ると、医療連携が政府の主導で行われていることを指摘できる。つまり、医療機関の趣旨とは異なっている点も多く、それが医療連携が機能していない要因となっていることが分かった。そのため、政府と医療機関(特に地域の中核病院)がまず意思統一を図る必要があることが分かった。 医療連携を機能させるにはこのような政策面に関する課題だけでなく、医療機関内の課題も多く見られる。各医療機関がそれぞれ「医療の質」を高める必要があるのは言うまでもないが、医療の質を高めるには、前提として医療機関は医療従事者の満足度を高めなければならない。そこで、医師と、それ以外の医療従事者の二者に分け、それぞれの満足度を高める具体的な方策について、インターナル・マーケティングの視点から議論した。
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