本年度は、「社会に偏在する企業家」という研究課題について、その理論的基盤として欧米の企業家研究において議論の対象となっている、制度派組織論(企業家研究の制度的アプローチ)と方法論としてのナラティブアプローチについて理論的レビューを実施した。この理論的・方法論的検討については、それぞれ専門学術誌である組織科学(査読付き)および国民経済雑誌に掲載された。 また、本年度は実証研究に基づく研究成果についても、大きな成果が見られた。 まず、地域内の企業家活動については2009年6月開催の組織学会全国大会で研究報告を実施しただけでなく、この報告に基づいてリサーチペーパーを公刊した。次いで老舗企業の継承を巡る企業家精神の発露については、老舗宮大工企業と会津塗りを対象に、2本のリサーチペーパーを公刊した。更に、環境問題に着目した地理的辺境における社会企業か活動については、2009年10月に日本村落研究学会の全国大会シンポジウムに講演者として招待され、昨年度よりフィールドワークを実施してきた沖縄県座間味村におけるサンゴ礁保全とダイビング産業の展開事例について、研究報告を行った。 なお、2009年11月に、本研究課題の研究成果(日本ベンチャー学会学会誌掲載論文2009年3月公刊)が第四回日本ベンチャー学会学会賞・清成忠男の対象となり、受賞した
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